作品解説
昨年の特別招待作品『コーマン帝国』の上映で、今も変わらぬ精力的な姿を見せてくれたMr.ロジャー・コーマン。
インディペンデント映画界の生けるレジェンドが、今年はコンペ部門審査員長としてTIFFに帰ってきました。約60年のあいだ現役であり続け、プロデューサーとして、監督として、低予算で面白すぎる映画を作り続けてきた男の魂を、一晩で堪能する贅沢オールナイトです。監督代表作『レッド・バロン』では空を舞台に巧みな演出術を見せ、『ピラニア』『モンスター・パニック』では教え子たちをバックアップしてプロデュース。お色気&ホラーで大成功を収めた。そう、これが娯楽映画の王道、これこそがコーマンズ・ウェイ!
『レッドバロン』"Von Richithofen and Brown"
97分 英語 Color | 1971年
第一次大戦の撃墜王フォン・リヒトホーフェン男爵。愛機を真っ赤に塗っていたことから「赤い男爵(レッドバロン)」と呼ばれた彼と英空軍の飛行士の宿命の対決を描く。合成撮影ではない空中戦の迫力は大作戦争映画にまったく引けを取らない。「戦争における騎士道精神の終焉」というテーマに挑んだ意欲作。本作品を最後にコーマンは監督業から離れ、製作と配給に専念していく。この撮影後に結婚したジュリー夫人が監督アシスタントとして参加。
監督:ロジャー・コーマン
キャスト:ジョン・フィリップ・ロー、ドン・ストロウド
『ピラニア』"Piranha"
93分 英語 Color | 1978年
3Dのリメイク版が大ヒットしたフィッシュホラーのオリジナル版が待望の登場。軍の秘密研究の末に凶暴な殺人兵器となったピラニアの大群がリゾート気分の老若男女に襲いかかる。『デス・レース2000年』の監督ポール・バーテルやディック・ミラーなど、おなじみコーマン組の面々が出演。主演のブラッドフォード・ディルマンはこのころ『燃える昆虫軍団』『スウォーム』など生物パニック映画の顔だった。
監督:ジョー・ダンテ
キャスト:ブラッドフォード・ディルマン、ヘザー・メンジース
『モンスター・パニック』"Monster: Humanoids from the deep"
80分 英語 Color | 1980年
『ピラニア』に続きロブ・ボッティンがクリーチャー・デザインの腕を振るった海洋ホラーにコーマン・スクール出身の女性監督を抜擢。DNA操作で突然変異した鮭がモンスター魚人となって、サーモンフェスで盛り上がる港町に大襲来。男は切り裂かれ、美女はモンスターにレイプされる! お色気と爆破たっぷりのB級映画テイスト満載。コーマンの製作・配給会社ニューワールド・ピクチャーズはこの年『ブリキの太鼓』も配給。「80年にこんな会社がほかにあったろうか?」とはコーマン自身の弁。
監督:バーバラ・ピータース
キャスト:ダグ・マクルーア、アン・ターケル、ヴィク・モロー