コンペティション審査委員長
ロジャー・コーマン
Roger Corman
映画監督/プロデューサー
profile
1926年デトロイト生まれ。1953年、初めての脚本が映画製作会社アライド・アーティストに買い取られ、映画化。“Highway Dragnet”(54)という、この作品でコーマンは製作補を務めた。その収入で、翌年、『海底からの怪物』(54)を自ら製作。自主映画製作者として彼が初めて手がけたこの作品は、18,000ドルという驚くべき低予算で製作された。
その後、映画会社アメリカン・インターナショナル・ピクチャーズ(以下AIP社)で低予算の作品を次々と手がけ、それらはすべて大成功を収めた。この一連の大ヒットでコーマンは名声を高め、製作費も増えていった。
60年代を通して作られた、ヴィンセント・プライス主演、エドガー・アラン・ポー原作のホラー映画シリーズは、海外でも称賛を受ける。
常に流行を生みだすコーマンは、初の“暴走族”映画『ワイルド・エンジェル』(66)を手がける。ピーター・フォンダとナンシー・シナトラ主演のこの作品は、1966年のヴェネツィア国際映画祭で上映され絶賛された。60年代後半にはサイケデリック映画のブームを生み出し、1967年にはジャック・ニコルソン脚本・主演の『白昼の幻想』(67)を手がけた。AIP社でのコーマンの成功は、同社がハリウッドで一大勢力を築く基礎となった。
70年代、コーマンは自身の製作・配給会社ニューワールド・ピクチャーズを設立。ニューワールドは、アメリカ最大のインディペンデント映画配給会社へと急速に成長した。ハイテンポな娯楽映画や、カルト映画を配給したほか、世界の名作映画の米国配給を手がける代表格となった。公開作品には、アカデミー賞受賞作を含むイングマール・ベルイマン、フランソワ・トリュフォー、フェデリコ・フェリーニ、黒澤明、ヴェルナー・ヘルツォークらの監督作品もある。
1983年、コーマンはニューワールド・ピクチャーズの売却を決め、作品の予算を増やすため、新会社コンコード・ニューホライズンの設立。コンコードが製作した作品には、ミミ・ロジャース、ビリー・ゼイン主演の『処刑監獄<未>』(94)、ポール・W・S・アンダーソン監督の『ショッピング』(93)など、批評家に高く評価された作品もあった。コーマンの自伝「私はいかにハリウッドで100本の映画をつくり、しかも10セントも損をしなかったか」は日本でも早川書房より出版されている。2009年、コーマンは“映画と映画人への多大なる貢献”を認められ、映画芸術科学アカデミーからアカデミー名誉賞を授与された。
コンペティション審査委員
リュック・ローグ
Luc Roeg
プロデューサー
profile
1962年生まれ。映画製作・海外セールスを手掛けるインディペンデント社の最高経営責任者。今年のヴェネチア国際映画祭でワールド・プレミア上映された“Boxing Day”を製作。2011年、『少年は残酷な弓を射る』を製作し批評家に高く評価される。この作品はカンヌ国際映画祭コンペティション部門でワールド・プレミア上映され、ロンドン映画批評家協会最優秀イギリス映画賞を受賞。さらに、英国アカデミー賞で優秀英国作品賞を含む3部門にノミネートされた。その他、“Mr. Nice”(10) 『スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする』(02) “Kreutzer Sonata”(08)『オセロ』(95) “Two Deaths”(95)など数多くの作品を製作、製作総指揮した。インディペンデント社のプロデューサーになる以前は、イギリスのウィリアム・モリス・エージェンシーのインディペンデント・フィルム・ヨーロッパの部門長を務めていた。それ以前はヴィヴィッド・プロダクションズの創設者のひとりとして、『ビッグ・タイム』(88)“Let Him Have It”(91)を製作した。映画界との最初の関わりは、子供の頃、父親のニコラス・ローグ監督の独創性に富んだ映画『美しき冒険旅行』(71)へ出演したことである。
滝田洋二郎
Yojiro Takita
映画監督
profile
1955年富山県生まれ。86年、映画『コミック雑誌なんかいらない!』を監督し、ニューヨークNew Directors/New Films映画祭、カンヌ国際映画祭で上映、高い評価を得る。その後、『木村家の人びと』(88)『病院へ行こう』(90)『僕らはみんな生きている』(92)『お受験』(99)『秘密』(99)『陰陽師 ~おんみょうじ~』(01)『阿修羅城の瞳』(05)『バッテリー』(06)『釣りキチ三平』(09)などの作品で人気を集める。『壬生義士伝』(02)では日本アカデミー賞最優秀作品賞、優秀監督賞を受賞。また『おくりびと』(08)では、モントリオール世界映画祭グランプリを皮切りに、日本アカデミー賞最優秀作品賞や最優秀監督賞など国内外で103もの賞を受賞。09年には、米アカデミー賞外国語映画賞受賞という快挙を成し遂げ、オスカーを手にした。最新作は日本独自の暦を作り上げた男、安井算哲を描いた冲方丁の小説を岡田准一主演で映画化した『天地明察』(12)。これまでピンク、ロマンポルノを含め45本の監督作がある。
エマニエーレ・クリアレーゼ
Emanuele Crialese
映画監督/脚本家
profile
1965年生まれ。シチリアにルーツをもつローマの映画監督である。1991年にアメリカに渡る。ニューヨーク大学で映画演出を学び、95年に学位を取得する。短編映画を何本か手掛けた後、97年に“Once We were Strangers”をニューヨークで撮り長編映画監督デビューを飾る。この作品でアメリカのサンダンス映画祭ドラマ・コンペティション部門に招待された初めてのイタリア人監督となり、世界各国でいくつかの賞を獲得した。その後、イタリアに戻り国際的な成功を収める。ヴィンチェンツォ・アマートとヴァレリア・ゴリノを起用し、シチリアのランペドゥーザ島で撮った彼にとっての初めてのイタリア作品『グラツィアの島』(02)でカンヌ国際映画祭批評家週間グランプリを獲得している。2006年には再び、ヴィンチェンツォ・アマートとシャルロット・ゲンズブールを起用し、『新世界』を監督する。この作品は20世紀初頭のアメリカへの移民問題を検証したもので、第63回ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を獲得した。この作品はアメリカでマーティン・スコセッシの手によって公開され、第79回アカデミー賞のイタリアからの出品作品となった。 最近の作品『大陸』(仮題)(11)は第68回ヴェネチア国際映画祭で審査員特別賞を受賞し、12年6月にトロント映画批評家協会からFIPRESCI(国際映画批評家協会)賞を授与される。さらに第84回アカデミー賞最優秀外国語映画賞部門のイタリア代表にも選ばれた。
部谷京子
Kyoko Heya
美術監督
profile
広島県広島市出身。武蔵野美術大学卒業。在学中に円谷プロダクションで美術助手のアルバイトを務め、映像美術に開眼。卒業後、美術助手として、ジェリー・ロンドン監督『将軍 SHOGUN』、深作欣二監督『里見八犬伝』、鈴木清順監督『陽炎座』、ポール・シュレイダー監督“Mishima: A Life in Four Chapters”、吉田喜重監督『嵐が丘』、黒澤明監督『夢』『八月の狂詩曲』等に参加。1992年、周防正行監督『シコふんじゃった。』で美術監督デビュー。日本アカデミー賞優秀美術賞を10回受賞し、『Shall we ダンス?』『それでもボクはやってない』で最優秀美術賞を受賞。他の主な作品に『RAMPO』『河童』『夏の庭 The Friends』『陰陽師 ~おんみょうじ~』『陰陽師Ⅱ』『金融腐蝕列島〔呪縛〕』『突入せよ!「あさま山荘」事件』『北の零年』『壬生義士伝』『マリと子犬の物語』『チーム・バチスタの栄光』『容疑者Xの献身』『ハナミズキ』『雷桜』『少女たちの羅針盤』『ロック~わんこの島~』『天地明察』など。08年、広島市民表彰(広島市民賞)受賞。09年「ダマー映画祭inヒロシマ」を立ち上げ代表を務める。12年4、5月「新藤兼人 百年の軌跡」を企画プロデュースし、48監督作品を上映した。
中山治美
Harumi Nakayama
映画ジャーナリスト
profile
茨城県出身。立命館大学卒業後、大阪日刊スポーツ新聞社文化社会部で映画・演劇を担当。1996年にフリーとなり映画ジャーナリストとしてカンヌ、ヴェネチア、ロッテルダム、サンセバスチャンなどの国際映画祭を取材。webサイト「シネマトゥディ」、共同通信47ニュース、デイリースポーツ、日本映画naviなどで執筆中。
川上皓市
Koichi Kawakami
撮影監督
profile
1946年生まれ。1969年、フリーの撮影助手として映画の世界に入る。78年『サード』で撮影監督デビュー。80年『四季・奈津子』で芸術選奨文部大臣新人賞、三浦賞(日本映画撮影監督協会新人賞)、日本映画技術賞、柴田賞(共に日本映画テレビ技術協会)、92年『橋のない川』と2006年『紙屋悦子の青春』で毎日映画コンクール撮影賞を受賞。現在、日本映画撮影監督協会副理事長、日本映画大学教授。
リム・カーワイ
Lim Kah Wai
林家威
映画監督
profile
1973年マレーシアのクアラルンプール出身。93年日本に留学、98年大阪大学卒業。2004年北京電影学院の監督コースに入る。09年『それから』で長編デビュー。香港国際映画祭などに公式招待された。2作目『マジック&ロス』が東京国際映画祭などで上映され話題を呼ぶ。3作目『新世界の夜明け』はCO2(シネアスト・オーガニゼーション大阪)の観客賞、技術賞を受賞。
村山匡一郎
Kyoichiro Murayama
映画評論家
profile
1947年生まれ。映画評論家、映画研究者。新聞や映画雑誌などで評論活動をするかたわら、多摩美術大学、武蔵野美術大学など大学や専門学校で映画史や映像学を教える。1993年から2003年まで山形国際ドキュメンタリー映画祭の「インターナショナル・コンペティション」の予備選考委員を務める。主な著訳書に「ケン・ローチ」「映画史を学ぶクリティカル・ワーズ」など。
深川栄洋
Yoshihiro Fukagawa
映画監督
profile
1976年生まれ。専門学校東京ビジュアルアーツの卒業制作『全力ボンバイエ!』(99)が水戸短編映像祭水戸市長賞等を受賞。『ジャイアントナキムシ』(99)『自転車とハイヒール』(00)が2年連続でPFFに入選。初の劇場用長編作品『狼少女』(05)、および『真木栗ノ穴』(07)が東京国際映画祭「日本映画・ある視点」部門に選出される。近年の監督作品に『60歳のラブレター』『白夜行』『神様のカルテ』『ガール』など。
川村 元気
Genki Kawamura
映画プロデューサー
profile
1979年生まれ。2001年東宝入社。2005年、『電車男』を企画し大ヒットを記録。2010年には『悪人』と『告白』を企画し、両作品ともに国内外で多数受賞し、日本アカデミー賞各賞を分け合った。同年にはハリウッド・レポーター誌の「Next Generation Asia」に選出され、2011年に史上最年少で「藤本賞」を受賞。その後も『モテキ』(11)『宇宙兄弟』(12)『おおかみこどもの雨と雪』(12)などを製作。
品田 雄吉
Yukichi Shinada
映画評論家、多摩美術大学名誉教授
profile
1930年北海道生まれ。北海道大学卒業。1953年映画雑誌「キネマ旬報」入社。その後「映画評論」などの編集部勤務を経てフリーの映画評論家となる。多摩美術大学教授・美術学部二部学部長、跡見学園女子大学短期大学部講師、聖心女子大学講師などを務めた。多摩美術大学名誉教授。著書は「監督のいる風景」「シネマの記憶から ―名優・名監督と映画評論家の五十年」など。
雅子
Masako
モデル、女優
profile
東京・日本橋生まれ。多数の女性誌を中心に、CM・企業広告等で活躍。また映画に出演する他、エッセイやコラム、映画評なども執筆する。主な出演作に『フィガロ・ストーリー』(91)『リング』(98)『リング2』(99)『リング0 バースデイ』(00)『サヨナラCOLOR』(04)。現在映画サイト「シネマカフェ」にて執筆中。
Tom Yoda
東京国際映画祭チェアマン
profile
1940年生まれ。69年山水電気入社。88年3月現・ティー ワイ リミテッド設立。 同年8月現・エイベックス・グループ・ホールディングス顧問就任。93年同社代表取締役会長、95年同社代表取締役会長兼社長就任(2004年8月退任)。現在、ティー ワイ リミテッド、ギャガ、ドリーミュージック、ティー ワイ エンタテインメントの4社の代表取締役のほか、ティ・ジョイ取締役なども務める。2008年3月東京国際映画祭(TIFF&TIFFCOM)チェアマン就任。その他公職は日本経済団体連合会幹事/エンターテインメント・コンテンツ産業部会 部会長、映像産業振興機構(VIPO)幹事理事、Japan国際コンテンツフェスティバル実行委員会副委員長、2012「日中国民交流友好年」実行委員会副委員長など。