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2013.03.27
[更新/お知らせ]
第25回TIFFを振り返る-参加ゲストの皆さまにコメントをいただきました(審査員編:ロジャー・コーマンさん、滝田洋二郎さん、エマヌエーレ・クリアレーゼさん、部谷京子さん、深川栄洋さん、川村元気さん)

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2012年 第25回TIFFにご参加いただいたゲストの皆さまより、TIFFの感想、25回TIFFのテーマ「今こそ、映画の力。」にまつわるエピソードをお話ししていただきました。
 
第1回は審査員として参加していただいたゲストからのお言葉です。
 
まずは、2013年3月31日をもって退任となる依田 巽チェアマンから
Q:TIFFについて
 依田 巽チェアマン:継続は力です。25回は一つの区切りで、これからまたホップ・ステップ・ジャンプといって欲しいです。60回以上続いている世界の著名な映画祭もある中で、東京もようやく成人と認められるような回を重ねたところで、これからどんどん発展しなくちゃいけないですね。東京に対する期待感は毎年すごく高まっていると感じていました。これからはもっともっといい作品が集まってくるだろうし、多くの映画製作者に愛される東京になって欲しいと思っています。
ボランティアの皆さんをはじめとしたホスピタリティは、ゲストから非常に高く評価されている東京の誇れる点の一つです。
 
Q:これからの映画界を担う学生の皆さんに向けて
依田 巽チェアマン:お隣の韓国では、20代の客層は60%~80%と言われています。作品によっては90%以上の観客が若い人。それなのに日本は若い人(観客)が少ない。
学生皆さんには映画にもっと興味を持って欲しいですね。
映画祭に来なければ見られない映画がたくさんあるので、ぜひ映画祭に来てください。
 
 
コンペティション 審査委員長
ロジャー・コーマンさん

Q:TIFFについて
 ロジャー・コーマンさん:東京国際映画祭は、今までに訪れた映画祭のなかでも最もよくオーガナイズされた映画祭のひとつです。ホスピタリティが素晴らしく、東京での滞在を本当に楽しみました。また、作品の選定も素晴らしいと思います。私が審査を務めた全ての作品は、上質の作品でした。
 
Q:コーマンさんは1994年の第7回TIFF(京都にて開催)ではヤングシネマ・コンペティション審査委員長として参加されていますが、京都と東京では何か違いがありますか?
ロジャー・コーマンさん:京都で開催された時の会場は今回よりも小さかったので、もう少し親しげな雰囲気だった印象があります。その一方、東京は大きく、よくオーガナイズされています。両方ともとても楽しかったです。
 
Q:これからの映画界を担う学生の皆さんに向けて
ロジャー・コーマンさん:映画業界で働くには2つの方法があると思います。まず、私が勧めるのは、チャンスがあるならばフィルムスクールに行くことです。特にNYU, USC, UCLA, Columbiaではしっかりと学ぶことができると思います。もしフィルムスクールに行くチャンスがないのであれば、どのような映画でもよいのでとにかく現場で仕事を得ることをお勧めします。その仕事がどのような内容であろうと構いません。実際に仕事をすることによって、もし結果を残せば昇進のチャンスもありますし、仕事を学ぶこともできます。
 
 
コンペティション 審査委員
滝田洋二郎さん

Q:審査員について
 滝田洋二郎さん:最高でした。この審査員の依頼を受けるのに、ロジャー・コーマンさんの名前があったのがとても素敵でしたね。
彼のキャリアだけで判断すると映画賞とかそういうものよりは、現場で色々な作品を作ったりとか、ビジネス優先で、例えばアメリカでフェリーニやアントニオーニ、『デルス・ウザーラ』を配給している、大きいけどよくわからない人かなと。アメリカで500本も映画を作って1セントも損しない人ってどんなだろうと考えて、(コーマンさんの)映画を見たり、本も読んだ印象は、もっとアクティブで、日本でいうとヤクザの親分みたいな人かと思っていました。
でも実際会ってみたらこれが。俺たちはもうコーマン・ファミリーだから(笑)。
実際はすごく穏やかで大学教授みたいな人で、映画に対しての理解が広くて深い!僕らが映画を見て、これはちょっとな、って思っても、でもここにはこういう所があるんだ、って良い所を見つけていくんです。
それは勉強になりました。映画を作った人の悪口を言ってはならない。皆が意志を持って作っているし、やっぱり皆を称えるべきだと。それはどんな映画でもそうです。そういうことを再確認させられました。まあ、その後で、忘れたい映画は忘れればいいわけですから。思い出に残る映画は残ればいいし、っていうことを感じました。
 
審査員としては、自分が1週間で15本の作品を見る、昔はもっと見てることもあったけど、感動したり、いつも映画に触れているような、その頃に戻れてよかったです。
審査をしたことで、自分の視界がすごく広まったと感じたので、また自分の作品でもTIFFに戻ってきたいと思います。
 
 
コンペティション 審査委員
エマヌエーレ・クリアレーゼさん

Q:TIFFについて
 エマヌエーレ・クリアレーゼさん:監督としてではなく、審査員の視点からコメントします。これまでに訪れた映画祭のなかで最も素晴らしいもののひとつでした。スタッフは素晴らしいおもてなしをしてくれました。また、審査員がその作品をどう評価するかにかかわらず、審査はとても賢明なものだったと思います。なぜならば、審査員の皆さんは映画の制作を経験された方たちばかりだったので、また違う視点を持っていたからです。私たちの審査は、とても理路整然としていて理解しやすいものだと思いました。
 
Q:第25回東京国際映画祭のテーマは「今こそ、映画の力!」なのですが、今までに映画の力を感じたエピソードがあれば、教えて下さい。
エマヌエーレ・クリアレーゼさん:私が観た作品のなかには、コメディ映画ではない、社会的な問題を扱う作品が多くありました。私は、社会に対する窓を開くことは、映画祭にとっても重要なことだと思います。様々な作品の様々な監督がまさにそれを実現していたので、彼らの作品中で表現の自由を観ることができ、励みになりました。
 
 
コンペティション 審査委員
部谷京子さん

Q:TIFFについて
 部谷京子さん:審査員として、映画漬けの毎日が本当に楽しかったです。他の審査員の皆さんと一緒に、この映画祭のテーマである、「映画の力」を、そしてこの「映画祭の力」も感じて、再認識することができました。
 
 
 
日本映画・ある視点 審査委員
深川栄洋さん

Q:TIFFについて
 深川栄洋さん:学生の時に渋谷時代の東京国際映画祭をぐるぐる周っていた人間なので、当時のことを思い出してすごく幸せでした。このような機会があってよかったなと思います。審査を担当する部門以外の作品に関しては、特別招待作品を何本か観ました。あとは仕事との兼ね合いで学生の時のようになかなか観ることができず残念でした。今回で調子がわかったので、来年再来年と機会をみて来たいと思います。特にアジアの風部門の作品を観たくて仕方がなかったです。アジアの人たちが何を考えているのか興味があったので、ぜひ第26回の東京国際映画祭で観たいと思います。
来年からチェアマンが変わるとお聞きしましたが、依田さんが広げた世界を縮めないように、これからも頑張ってください。楽しみにしております。
 
Q:これからの映画界を担う学生の皆さんに向けて
深川栄洋さん:会場のレセプションのなかにいて閉会式の客席には50代60代の方が多かったのですが、これから映画を作っていくのは10代20代で、映画の動員を20代30代の人たち、そのなかでも特に女性が観に来ることが大切だと思いますので、皆さんの感覚を映画界に持ち込んで勝負してもらいたいなぁと思います。頑張ってください。
 
 
日本映画・ある視点 審査委員
川村元気さん

Q:TIFFについて
 川村元気さん:映画を作る作業というのは身内でやるものなので、こうして制作者が出会える場を設けることはとてもいいことだと思いました。ただ、ここをどう持ち帰って次の映画につなげるのかということが大事だと思いますし、その作品をこの日本映画・ある視点の人たちと観てみたいですね。
 
Q:第25回東京国際映画祭のテーマは「今こそ、映画の力!」なのですが、今までに映画の力を感じたエピソードがあれば、教えて下さい。
川村元気さん:僕は映画の力に絶望している人間ですからね。映画にできるのは「世の中を変えてやろう」とかいう大きなことではなくて些細なことです。もっと小さく面白いものを企んで、世に放ってやろうとした結果、映画の力が広がるのだと思います。あまり大きなことを夢見てもしょうがないと思うのです。インディペンデントもメジャーも関係なく、面白い企みが何個出てくるのか、ということが大切だと思います。
 
Q:これからの映画界を担う学生の皆さんに向けて
川村元気さん:映画を観てください、が全てです。例えば松江監督とか深川監督もそうだけど、僕と同世代の映画を作っている人たちというのは、本当によく映画を観ていると思います。最低限の映画のコミュニケーションができなければいけないのに、「映画が好きです」って言っていてもひと月に映画館で1本しか観ていないのでは話にならない。月に10本20本観て映画を作っている人たちが集まっているところに来るのですから。学生時代しか自分のなかにストックを作ることができないから、ぜひ映画をたくさん観て、本当に映画を好きなのか、自分に問うて欲しいと思います。
 
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