2012年 第25回TIFFにご参加いただいたゲストの皆さまより、TIFFの感想、25回TIFFのテーマ「今こそ、映画の力。」にまつわるエピソードをお話ししていただきました。
第2回はコンペティション部門出品ゲストからのお言葉です。
マイケル・J・リックスさん(監督)(『アクセッション ― 増殖』)
Q:TIFFについて
マイケル・J・リックスさん:最高の時間でした!映画祭は華やかで、とても心地よかったです。毎晩、世界中から集まった素晴らしい映画制作者たちと会う機会も得られましたし、本当に最高の映画祭でした。ここに来ることができて本当に光栄に思います。
イェシム・ウスタオールさん(監督)、ネスリハン・アタギュルさん(女優)(『天と地の間のどこか』 ☆最優秀女優賞(ネスリハン・アタギュルさん)受賞)
Q:TIFFについて
イェシム・ウスタオールさん:東京国際映画祭に参加することができ、とても楽しかったです。とてもよくオーガナイズされた映画祭でした。ゲストの皆さん、スタッフの皆さん、劇場の設備も素晴らしかったです。また、この映画祭に参加されている観客の皆さんも素敵だと思いました。皆さん映画をよく理解して素晴らしい質問をしてくださったので、お話しできて本当に楽しかったです。
Q:最優秀女優賞を受賞されて、どのようなお気持ちですか?
ネスリハン・アタギュルさん:とても嬉しいです!
松江哲明さん(監督)(『フラッシュバックメモリーズ 3D』 ☆観客賞受賞)
Q:観客賞を受賞されて、どのようなお気持ちですか?
松江哲明さん:TIFFは、観客として参加したのが最初で、その後、審査員を務め、作品を出品してという自分が映画に関わっていくこととシンクロしている映画祭です。その場所で観客賞をいただけました。上映の場所を作ってくれた観客の皆さんが投票してくれているので、むしろ責任を感じています。こういう上映を、『フラッシュバックメモリーズ 3D』はまたやってね、ということだと思うので、僕はこの賞をこれからの上映につなげたいと思います。
Q:これからの映画界を担う学生の皆さんに向けて
松江哲明さん:TIFF応援団の学生メンバーとの絡みはとても楽しかったです。ポップで軽いのは良いと思います。
(学生は)映画を観てください。映画を観ないで自己表現として映画をやる人があまりにも多すぎるので。映画には歴史があるので、それを踏まえてください。(映画を観ないで)自己表現しようと思っている人が、映画を作っても、それはすでに誰かが必ずやっています。だから自己表現のために映画を撮るのではなくて、自分が映画をなぜやりたいかっていうことをもっともっと考えて、(映画の)歴史を勉強して、自分が出来るっていうことを探してください。
学生さんに対しては安易にがんばってと言おうとは思わないです。今の映画(界)に入るっていうのは、インディペンデントに入るってことと一緒だから、それは厳しいことだと思うので、生活を大事にとか、色々な事を考えるのも必要です。
言えることは、とにかく映画を観てということです。
GOMAさん(ディジュリドゥ奏者)(『フラッシュバックメモリーズ 3D』 ☆観客賞受賞)
Q:TIFFについて
GOMAさん:新しい経験をさせてもらえて、ここからがまた新しい人生のスタートなのだと、2回目のスタートだと思わせていただいたことで、すごい勇気をもらいました。本当に人生終わったなと思っていたのですが、今回観客賞をいただいて過去の自分の記憶のブランクの間に自信を持てたというか、そういう気持ちにさせてもらいました。ありがとうございました。
カン・イグァンさん(監督)、ソ・ヨンジュさん(俳優)、イ・ジョンヒョンさん(女優)
(『未熟な犯罪者』 ☆審査員特別賞、最優秀男優賞(ソ・ヨンジュさん)受賞)
Q:TIFFについて
カン・イグァンさん(左):思いがけなく賞をいただいて、本当に嬉しく思っています。実は映画を作る仕事というのはとても大変なので、この仕事を続けようか迷っていた時期だったのですが、この賞を「これからも頑張れ」という励ましの言葉だと受け止めて、これからも頑張って撮り続けようと思います。ありがとうございます。
ソ・ヨンジュさん(右):最初は緊張していたのですが、素晴らしい賞をいただいて嬉しいです。実は映画祭に参加すること自体初めてで、東京国際映画祭も今回初めて知ったのですが、本当にいい映画祭で嬉しかったです。
イ・ジョンヒョンさん(中央):とても素晴らしい賞をいただいてありがとうございます。東京国際映画祭を愛しています!
ダニエル・マルク・ドレフュスさん(プロデューサー)(『NO』)
Q:TIFFについて
ダニエル・マルク・ドレフュスさん:残念なことに、私は日本に48時間しか滞在することができず、もうすぐ空港へ向かわなければなりません。しかし、東京国際映画祭に来ることができ本当に嬉しく思っています。この映画祭はオーガナイズも運営も素晴らしく、それを支えた皆さんの熱意を感じました。
私は、社会と関連性のある『NO』のテーマが好きです。なぜならば、この概略に適合する映画は他にはないからです。また、この映画が人々にどれほどの意味をもたらしたかということにも感動しました。本当にたくさんの人々が私のところへ来てくださったのです。「人々」という言葉には、映画祭の関係者や映画制作者だけでなく、作品を観終えたばかりの観客の皆さんも含まれています。観客が観たものは彼らにとってとても大切なものとなり、彼ら自身の幸福だけでなく他者の幸福をも気遣うようインスパイアしました。また、何かを発言しよう、そしてその権利を得るために戦おうという気持ちを呼び起こしました。このようなリアクションを人々からもらい、願わくは人々を楽しませ、人々に情報を提供し、人々をインスパイアする - 私は素晴らしいことだと思いますし、これこそが私たちが映画を作る理由だと思います。
Q:第25回東京国際映画祭のテーマは「今こそ、映画の力!」なのですが、今までに映画の力を感じたエピソードがあれば、教えて下さい。
ダニエル・マルク・ドレフュスさん:もちろんです!ちょうど私が映画館を出ようとしたとき、日本人の女の子が目に涙を浮かべながらやってきて、「この映画を作ってくれてありがとう」と言ってくれたのです。この映画が作られた国とは異なる文化を持つ日本の観客がそう話してくれたことが、まさに映画の力だと思いました。
そして映画の力というのは、ただ人々を楽しませたり、笑わせたり、涙を誘ったり、忘れさせたりするだけではありません。(『NO』で描いた)1988年の人々が厳しい状況下で事を成した時のように発言することの大切さを気づかせ、「私は私自身と他者のために今日なにができるだろう」と自問するようインスパイアすることも、映画の力です。
さらに、エジプトから来た方が僕のところにやってきてくれて「この映画は、まさに今、私の国で起こっていることそのものです。この映画がエジプトでも上映されるよう願っています。」と話してくれた時に、このようにして映画が社会の変化とつながることができるということや、社会の変化を促進して人々の生活を向上させられるメディアの力を感じ、これこそが映画の力だと思いました。
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