2012年 第25回TIFFにご参加いただいたゲストの皆さまより、TIFFの感想、25回TIFFのテーマ「今こそ、映画の力。」にまつわるエピソードをお話ししていただきました。
第4回はアジアの風、日本映画・ある視点、natural TIFF出品のゲストからのお言葉です。
レイス・チェリッキさん(監督)(『沈黙の夜』 ☆最優秀アジア映画賞受賞)
Q:TIFFについて
レイス・チェリッキさん:オーガナイズもスタッフの皆さんも素晴らしい映画祭でした。そしてお寿司も最高でした!実は私の妻(一緒に来日したプロダクション・マネージャーのメディクさん)は寿司が苦手なのですが、次回は挑戦すると思います(笑)。多くの映画制作者との出会いもとても楽しかったです。
ティ・リム・クゥンさん(監督) (『天女伝説プー・チュク・ソー』『怪奇ヘビ男』)
Q:TIFFについて
ティ・リム・クゥンさん:参加できて、大変嬉しいです。この映画祭はきちんとオーガナイズされていて、映像も音もよく上映していただき、スタッフの皆さまには本当に感謝しています。もう1度参加したくなりました。
Q:第25回東京国際映画祭のテーマは「今こそ、映画の力!」なのですが、今までに映画の力を感じたエピソードがあれば、教えて下さい。
ティ・リム・クゥンさん:「多くの人に映画を作ってもらおう」という気持ちがあってこそ、こういう映画祭が開催されるのだと思います。映画は世界で7番目の芸術と言われていますが、映画の持つ最も強い力とは、人々を教育したり啓蒙したりする力だと思います。私自身、映画を通して良いことをすれば報われる、悪いことをすればバツが与えられるという考えを広めたいと思っています。社会に生きる人々に善悪を啓蒙する力があるというのは、非常に重要な映画の力です。
木村文洋さん(監督) (『愛のゆくえ(仮)』)
Q:TIFFについて
木村文洋さん:東京の映画を好きな方や、何年も映画祭に通われているような方から、Q&Aやインターネットですぐに厳しい反応、鋭い反応が返ってきて、緊張もしましたが、すごくうれしかったです。
Q:第25回東京国際映画祭のテーマは「今こそ、映画の力!」なのですが、今までに映画の力を感じたエピソードがあれば、教えて下さい。
木村文洋さん:僕は、救えないものを助けられるのが映画だと思っておりまして、震災以降、去年(2011年)のTIFF、今年(2012年)もこうやってTIFFで映画を上映していくということが、助けになっているのではないかと思います。
吉野竜平さん(監督) (『あかぼし』)
Q:TIFFについて
吉野竜平さん:TIFFの雰囲気は、格調高いというか(笑)、普段は東京の下町におりますので、六本木に来ると、ちょっとドキドキしてしまいます。映画祭の雰囲気は、外から見ているととっつきにくいのかなと思いましたが事務局のスタッフ、ボランティアの皆さんも親切でした。普通に一般の観客として、来ようかなと思いました。もちろん、また作品も出品したいですね。
Q:第25回東京国際映画祭のテーマは「今こそ、映画の力!」なのですが、今までに映画の力を感じたエピソードがあれば、教えて下さい。
吉野竜平さん:映画を撮っている人間って脚本を書いたり、撮影中に考えた事って、伝えたい気持ちは強くあっても、多分伝わらないのかな、という風に何かあきらめにも似た心境になるんです。でも今回、大勢の観客に見ていただいて、上映後のQ&Aといった場所で、これはこういう意味ですか、とか海外の方からも質問をいただけると、映画というのは本当に力がある共通言語だと感じました。
皆が同じ暗い部屋に入って、人種も性別も年も違うという方が同じ映画を見て、体験して、そこから生まれる、共感というか一体感は、まさに「映画の力」なのかなと思います。
Q:これからの映画界を担う学生の皆さんに向けて
吉野竜平さん:(学生当日券が)500円でこれだけのクオリティの作品を観られるのはすごいなと思いました。
普通の映画館では観られない作品を、ふらっと来て、500円で見れるというのはかなりいい経験ができると思いますので、学生の皆さんは映画をたくさん観てください。
土屋 豊さん(監督) (『タリウム少女の毒殺日記/GFP BUNNY』(TIFF上映タイトル『GFP BUNNY─タリウム少女のプログラム─』) ☆日本映画・ある視点部門 作品賞受賞)
Q:TIFFについて
土屋 豊さん:TIFFにキチンと参加したのが初めてだったので、非常に華やいだ気持ちになりました。
華やかな場所はあまり得意ではないのですが、がんばって(笑)楽しみました。
Q:第25回東京国際映画祭のテーマは「今こそ、映画の力!」なのですが、今までに映画の力を感じたエピソードがあれば、教えて下さい。
土屋 豊さん:皆さんに聞いてるんですね。こういうの形式ばっててすごく好きです(笑)。
『GFP BUNNY』という作品を通して、この少女の気持ちをわかってしまうことが怖いという方がいました。(自分は)わかってもいいと思いますが、“こんな(犯罪を犯した)少女の気持ちをわかってしまうのはいけないことなのでは”、という「社会的な抑圧」みたいな気持ちをこの映画が解き放ったというのは“力”だなと思います。20年30年、抑圧に近い感情を持って生きてきた人が映画を見ることで、共感できる、共感してもいいのかも、と思ってくれたことが“力”ではないかな、と思います。
渡辺真起子さん(女優)(『タリウム少女の毒殺日記/GFP BUNNY』(TIFF上映タイトル『GFP BUNNY─タリウム少女のプログラム─』) ☆日本映画・ある視点部門 作品賞受賞)
Q:TIFFについて
渡辺真起子さん:賞がある部門には初めての参加だったので、そこで受賞したことはすごくうれしいです。
Q:第25回東京国際映画祭のテーマは「今こそ、映画の力!」なのですが、今までに映画の力を感じたエピソードがあれば、教えて下さい。
渡辺真起子さん:土屋監督が話した事とつながるかも知れないんですが、自分の参加した作品に共感したり、観客として映画館に行って、私は一人じゃないんだな、と思ったり、共感した時に支えらているなぁという気持ちになります。
榎本憲男さん(監督) (『何かが壁を越えてくる』)
Q:TIFFについて
榎本憲男さん:TIFFの良いところは非常にオーガナイズされていて、日本の国際映画祭なので海外の各国の映画に日本語字幕がついているのは、僕にとってありがたいです。
いままでは、ビジネスとして、ビジネスマンとして参加していたんですけれども、監督として参加すると非常に大切にしてもらって、気持ちが良かったです。今日(映画祭最終日)はかなり寂しいです。
(今回受賞しなかったが)巻き返しはどこかで図らないといけないと思います。
Q:これからの映画界を担う学生の皆さんに向けて
榎本憲男さん:勉強しないで、楽しみだけで映画を作ると、批判されることもあります。お互い勉強しましょう。
フィリップ・ウィチュスさん(監督)(『聖者からの食事』 ☆TOYOTA Earth Grand Prix受賞)
Q:TIFFについて
フィリップ・ウィチュスさん:ホテルは美しく、スタッフはとても思いやりがあって、ゲストがとても歓迎されているという第一印象を受けました。私の映画が上映された日にJ-Waveと公式サイトのインタビューを受けたのですが、すべてがよくオーガナイズされていました。また、劇場の施設のクオリティも最高でした。音響編集を終えてかこの作品の音を聞いたのは初めてでしたが、音響効果や映写はプロフェッショナルでとても素晴らしいと思いました。
Q:第25回東京国際映画祭のテーマは「今こそ、映画の力!」なのですが、今までに映画の力を感じたエピソードがあれば、教えて下さい。
フィリップ・ウィチュスさん:この映画祭にはタイプの違う映画がたくさんあったと思います。私はドキュメンタリーと1本の長編映画を観ましたが、それぞれが異なるスタイルを持っていました。
また、この映画祭の受賞作品の選択には驚かされました。なぜなら、受賞作品は開催回によって全く異なる作品だったからです。そこからは審査員の偏見のない心が感じられました。また、依田チェアマンの素晴らしい思いやりにも感動しましたし、彼のエネルギーを感じました。彼こそ長い歴史を持つこの映画祭の広い心を表していると思います。
第1回
第2回
第3回