10/21(日)に特別招待作品『渾身 KON-SHIN』の舞台挨拶に、監督の錦織良成監督と主演の青柳 翔さんが登壇しました。
錦織良成監督(以下、錦織監督):本日はこの映画を選んで見に来てくださいまして、本当にありがとうございます。今日、初めて一般の皆様にお見せできることを光栄に思います。
青柳 翔(以下、青柳):本日は、映画『渾身』の上映にご来場いただき、ありがとうございます。
この映画は、日本の古き良き文化、伝統、愛、絆と本当にたくさんの要素が詰まった、監督・キャスト・スタッフでワンシーン、ワンシーンをとても大切に撮った映画なので、皆さん楽しんでいってください。
初めて東京国際映画祭のグリーンカーペットを歩かれていかがでしたか?
錦織監督:すごく長かったです(笑)。出演していただいた隠岐古典相撲の力士の皆さんが十数名でわざわざ駆けつけてまわし姿で歩いてくれました。僕と青柳さんは全く同じ紋付き袴だったので、漫才コンビのように歩きました。(一緒に登壇した行司の方に)相撲甚句を歌っていただき、とてもかっこよかったです。
青柳:撮影期間が少し長くてずっと島の人たちと、一緒に生活をして、ご飯を食べ、酒を飲んだり、そうやって作った思入れのある作品なので、昨日グリーンカーペットを隠岐の皆さんと一緒に歩けて素直にうれしかったです。
昨日一緒に歩かれた、映画にも出演されている実際の隠岐の力士の皆さんが、今日いらっしゃっているそうですね。
錦織監督:今日初めて(作品を)ご覧いただきます。(拍手の中、隠岐の力士の皆さんがお二人に手を振ってくださいました!)
このように隠岐島の方々と手作りで映画を作り上げていかれたわけですね。
この作品はカナダのモントリオール映画祭にも出品されました。そこでの素敵なエピソードをちらりと聞いたのですが。
錦織監督:カナダでも多くの皆さんにご覧いただきました。相撲って日本人にしかわからないと思っていたのですが、皆さん理解も早くて非常に好評でした。
そして、青柳さんがカナダの人たちに大変注目を浴びていました。「黒澤映画の“ミフネ”みたいだ」と。
青柳:すみません、おこがましいですね。
錦織監督:そう言ったのはモントリオール映画祭のチェアマンなんです。チェアマンとは接見が叶い一時間以上話して、そのあとミラクルがおきまして。(モントリオール映画祭の)主演女優賞のプレゼンターを『渾身 KON-SHIN』の青柳 翔さんにという申し出があり、プレゼンターをやりました。(そういうことは)聞いたことがないそうです。
素晴らしいことですね!
(盛大な拍手に、青柳さんは恐縮してはにかんでいらっしゃいました。)
東京国際映画祭では海外の方も映画をご覧になります。海外の方々の『渾身 KON-SHIN』への反応をモントリオールで肌で感じていかがでしたか?
青柳:現地の方でも、相撲や日本の古き良き文化に共感していただけるんだなと感じて嬉しかったです。現地の映画館で見終わった後に、たくさんの方に「よかったよ」と声をかけていただいたのですが、その中で“Congratulations!”「おめでとう!」と言われました。
そのときは意味がわからなかったのですが、映画を見終わった後に言ってくれた言葉だったので、ああ、こういう意味で言ってくれたのかな、と思った時ものすごく嬉しかったです。
「おめでとう」の意味は、映画を観終わった後に考えていただければわかると思います。
力士を演じるにあたり、筋肉質な体への肉体改造などどうやって役作りをされたのですか。
青柳:そんなに鍛えてはなかったんですけど…隠岐の人たちに比べると僕は少し線が細いので、毎日隠岐のみんなと稽古をしました。
青柳さんは映画初主演ということですが、オーディションで決まったとお聞きしました。
錦織監督:私は、自分の映画の主演をオーディションで決めることが多いのですが、『ローマの休日』のオードリー・ヘップバーンや『スターウォーズ』のハリソン・フォードなど、新人でいきなりスターダムへ、というのも映画の力ではないかと思います。今回もまたこんな素晴らしい才能に出会えたことを嬉しく思っています。
この作品は伝統的な古典相撲というのを日本の人だけでなく海外にも伝える作品だと思います。最後に「日本の心」をどうやって伝えていけたらいいと思いますか?
錦織監督:本当に難しい質問ですけど、この映画は相撲・伝統など堅苦しい感じがするかと思いますが、観終わったあとみなさんが笑顔になっていただけるんじゃないかとみんなで心を一つにして作りました。
いま自信を失っているような日本ですが、隠岐の皆さんが、若者も年配の方もみんなでひとつになって相撲を支えている、支えているというよりも楽しんでいる姿に「日本」を誇りに思いました。
とてもいい映画です。誇りに思える日本人でありたいと思って作りましたので、ぜひ楽しんでください。
「黒澤映画の“ミフネ”みたいだ」という言葉に、照れたようにはにかむ姿が印象的だった青柳 翔さん。それを優しく見守る錦織監督の姿からお互いを信頼されている様子が伝わってきました。