2012年10月17日、若松孝二監督が不慮の事故にてお亡くなりになりました。東京国際映画祭では、若松孝二監督を偲び、10/26(木)、第20回東京国際映画祭「日本映画・ある視点」作品賞受賞作『実録・連合赤軍-あさま山荘への道程(みち)』を追悼上映しました。
その上映前には、本作を含む若松孝二監督の多くの作品に出演されている俳優の井浦 新さん、大西信満さん、地曵 豪さん、近年の若松組では欠かせない撮影監督だった辻 智彦さんが登壇、若松孝二監督への追悼の辞を述べられました。
地曵 豪さん:ご来場いただきましてありがとうございます。追悼上映の場を設けていただいた東京国際映画祭の関係者の皆様と、終電もなくなろうかという上映時間にもかかわらず足をお運びくださったお客様の一人一人に心から御礼申し上げます。ありがとうございました。
井浦 新さん:本日は急きょ開催された追悼上映にこんなにも多くの方にお集まりいただきありがとうございます。この作品は2008年公開の作品ですが、撮影は2006年の秋から3か月にわたって行われました。僕はこの作品で若松監督の現場を初めて経験し、その後の5作品に参加させていただきました。監督との出会いとなったこの作品を若松監督は、怒りをもって、怒りを力にして撮っていたと思います。どれだけの情熱を注ぎこんでいたのかが後からどんどん思い起こされます。若松監督の情熱がそのまま映像に焼き付いている作品です。ぜひみなさんその情熱を体で感じてください。
大西信満さん:本日はどうもありがとうございます。若松監督と僕たちは、北は北海道から南は沖縄まで、海外も含めて、何十回と舞台挨拶をしてきました。声をかけていただければ、どんなに小さな映画祭であろうと必ず行くのが若松監督でした。作品を作る熱意と同じように、(観客の皆さまに)見ていただいて初めて映画が完成するという考え方を徹底されていたからです。その考えは僕たちにも叩き込まれていまして、必ずお客様の目の前に立って自分の口から、(お客様に)ご挨拶をするというのが若松監督のやり方でした。急な告知の上映ではありますが、本日は主催者の皆様にご配慮いただき、このような場を設けていただきました。皆様に感謝いたします。この映画にはものすごくいろいろな思いが、皆の思いが詰まっています。最後までどうぞ見届けてください。ありがとうございました。
辻 智彦キャメラマン:本日はお越しくださいましてありがとうございます。今日は若松組のスタッフを代表してここに立っています。この映画は若松監督の情熱に突き動かされるように、俳優・スタッフの垣根を越えて、協力して作り上げたものでした。今、その思い出や現場での苦労、東京国際映画祭をはじめとして、世界中の映画祭で上映した時の雰囲気等を思い出しています。若松孝二の肉体は残念ながらここにはおりませんが、若松孝二の魂と精神は映画の中にしっかりと刻み込まれています。皆さま、今日映画をご覧になって、その若松監督の魂と触れ合ってください。本日はどうもありがとうございました。