2012.10.29
[更新/お知らせ]
アジアの風部門 アジア映画賞総評
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第25回TIFF 本年度アジアの風部門審査委員、中山治美、川上皓市、リム・カーワイからのアジア映画賞総評です。
『沈黙の夜』
男尊女卑が残る地域での幼な妻問題を扱いつつ、徐々に2人の背景が明かされていくサスペンス的要素と密室劇での2人作品というスリリングさに惹かれ、最期まで飽きさせなかった。そして作品は、ベテランにもかかわらず瑞々しく初々しかった。
[総評]
商業映画にしても実験的なインディペンデント映画にしても観客を意識し、構成力、カメラワーク、演出のすべてにおいて今の日本の監督たちが見習うべき作品ばかりでした。何より、作家が映画の力を信じていることが伝わってきて、審査員一同心が踊る日々でした。
スペシャル・メンション
『兵士、その後』
内戦終了後のスリランカという今を描いた社会的な題材かと思いきや、サスペンスやハードボイルドといったジャンル映画の興奮に満ちていた。また、計算された空間と音楽の使い方に唸らされました。
『老人ホームを飛び出して』
脚本、演出、撮影、そして俳優の演技すべてにおいてチャン・ヤン監督の力量を魅せつけられました。監督が人間を信じているからこそ出せる味だと思いました。
『ブワカウ』
主人公は70歳のゲイ。その孤独と悲しみという暗くなりがちなテーマをユーモアを持って描いており、評価などすべてを度外視して愛すべき作品でした。