Home > ニュース > 10/21(日) コンペティション部門 『イエロー』 記者会見のご報告
ニュース一覧へ 前のページへ戻る
2012.10.22
[イベントレポート]
10/21(日) コンペティション部門 『イエロー』 記者会見のご報告

コンペティション 『イエロー』 記者会見のご報告
日時・場所:
10/21(日) 16:30~ @TIFF movie café
登壇者:
ニック・カサヴェテス(監督/脚本)、ヘザー・ウォールクィスト(脚本/女優)
イエロー

©2012 TIFF

 
ニック・カサヴェテス監督と、監督と共同で脚本を執筆し主演女優も務めるヘザー・ウォールクィストさんにお話しを伺いました。
 
Q:『イエロー』という題名の意味・意図を教えてください。
 
ヘザー・ウォールクィスト(脚本/女優):率直に言うと映画のタイトルってたいていは意味がなくて、内容をタイトルから知ることはできないと思っています。なので『イエロー』も特に意味はないと私は思ってますが、ニックは「錠剤の色」だと解釈しているみたい。
 
Q:脚本を3年かけて二人で執筆していますが、具体的にはどのような分担で作業を進めたのですか?
 
ニック・カサヴェテス監督:とてもシンプルな答えですよ。どの家庭でも同じだと思いますが、女性が一番偉いので彼女が書く内容を指示し、私がタイプしました。ヘザーはキャラクターづくりが得意で私にストーリー展開を何度も説明するので、私がもういいから別室で書いてくるよ!と書きあげたものに彼女がダメ出しをしてまた私が書き直す、ということを繰り返しました。
 
ヘザー・ウォールクィストさん: 話し合っては少しずつ書き進めるという作業を繰り返し、実際に撮影を始めたのは脚本を書き始めた1年半後でした。でも1週間ほどで資金が尽き、撮影を中断して資金調達に動き、1年後に撮影を再開というようなことを繰り返しました。資金調達にかなりの時間を費やしています。本作品には大勢のプロデューサーが係わっていますが、一人でも欠けていたら作品を完成することはできませんでした。
 
ニック・カサヴェテス監督:これは非常に特殊な作品です。人々は恋愛映画が見たいものですから、私たちの脚本を読んでも資金を提供しようという人がおらず、撮影中断せざるを得ない状況になるなど、とても恥ずかしい状況でした。でも少しずつうまくいき・・・奇跡だと思っています。映画を製作したいと思っている若い人たちへのアドバイスは「頑固に信念を貫け」ということです。この作品はとても大変だったけど、完成することができて幸せだと思っています。
 
Q:インディペンデントで映画をつくることの醍醐味を教えてください。
 
ニック・カサヴェテス監督:私は自分を世界一ラッキーな人間だと思っています。大学は1学期間しか通わず卒業していませんし、映画製作以外の能力に欠けています。でも物語を書いて撮影し、みなさまに見せるというのが私の仕事なのです。映画製作は至福の喜びです。私はスタジオ制作の映画もつくったことがありますし、それはそれで素晴らしい体験です。でもインディペンデント映画をつくることは大変な部分も含め、映画製作者にとっていちばん楽しいことなのです。ヘザーのような女性が自分で書いた映画で素晴らしい演技をし、女優として成長していくことを見ることができました。これ以上の人生はないと思っています。
 
Q:脚本を書いている段階と、監督と女優という関係になった時に二人の関係は違ってくるのでしょうか?
 
ヘザー・ウォールクィストさん: 今回が初めての共同脚本でしたが、やはり違いました。撮影現場ではそれぞれのスタッフに自分の役割があり、私は女優でした。いったんセットに入れば私はクリエイターでもなく脚本家でもなく、女優なのだという立場を認識していました。
 
Q:本作品は監督の作品の中でも画期的なものですが、今後の方向性について教えてください。
 
ニック・カサヴェテス監督:私は将来を予想するのが下手で、いつも予想と異なることを結果的にはしているのですが、撮りたい作品にはいつもひとつの共通点があります。それは「自分の興味がある内容か」というものです。そして自分が将来何に興味をもつのか予想ができません。インディペンデント映画の製作も、スタジオ映画の製作も両方好きですが、要はストーリーに関心がもてるのか?愛情を感じることができるのか?というのがポイントなのです。『きみに読む物語』の脚本を初めて読んだ時は、くだらないなあと思わず爆笑しました。ですが、私が信じる「永遠の愛」を描いているあの作品を、それがどんなにダサく陳腐なものであっても映画にしたかったのです。『イエロー』についても同じ感情をもちました。今後の人生において、自分が美しいと感じる題材を撮り続けることができれば幸せだと思っています。

 
イエロー

©2012 TIFF

 
 
コンペティション
イエロー
イエロー

© Nordisk Film 2012

監督/脚本:
ニック・カサヴェテス
脚本/主演:
ヘザー・ウォールクィスト
キャスト:
シエナ・ミラー
メラニー・グリフィス
ジーナ・ローランズ
ルーシー・パンチ
レイ・リオッタ

KEIRIN.JP本映画祭は、競輪の補助を受けて開催します。TIFF History
第24回 東京国際映画祭(2011年度)