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2012.10.23
[イベントレポート]
10/22(月)コンペティション国際審査委員 公式記者会見のご報告

第25回東京国際映画祭の最終日には、世界各国からコンペティション部門に選ばれた15作品の中から栄えある東京 サクラ グランプリを 始め、各賞の受賞者が発表されます。その審査を担当してくださる5名の審査委員の皆様をお迎えして、記者会見が行われました。
 
コンペティション国際審査委員 公式記者会見のご報告
 
日時・場所:
10/22(月) 17:00~ @TIFF movie café
登壇者:
ロジャー・コーマン(審査委員長)
リュック・ローグ、滝田洋二郎、エマニエーレ・クリアレーゼ、部谷京子
コンペティション国際審査委員

©2012 TIFF

 
ロジャー・コーマンさん: 私は1994年に東京国際映画祭のヤングシネマの審査委員長として来日したことがあります。それはとても素晴らしい経験でぜひまた機会があればと思っていたところ、今回のお話をいただきました。すでに数本の作品を見始めていますが、非常に素晴らしい作品が揃っております。作品内容についての質問以外はなんでもお答えしたく思います。
コンペティション国際審査委員

©2012 TIFF

 
リュック・ローグさん: 私にとって初めての来日ですが、審査委員としてお招きいただき大変光栄に思っています。外国を訪れ異文化にふれること、しかもそれが映画を通じてできるというのは感慨深いものがあります。映画を介して言語・国境を超えたコミュニケーションがとれるというのは素晴らしいことです。審査員の皆様とそんな思いを共有し、楽しみたいと思います。
コンペティション国際審査委員

©2012 TIFF

 
滝田洋二郎さん: 自分が映画監督なので人の映画を評価するのは少し難しいのですが、昔に戻り1日に3本も4本も映画を浴びて映画漬けになるのは悪くないかなと思い審査員をお受けいたしました。映画祭では普段触れることがない作品を見ることができるので、見る喜びあるいは作る喜びを再発見したいですしパワーとエネルギーをいただきたいと思っております。作品の内容にはまだ触れることができませんが、審査の雰囲気は2日目にして最高でございます。ビッグ・ファーザーを中心とした息子と娘のような非常にいいグループで、毎作品見るごとに集まり議論し、とても楽しい時間を過ごしております。
コンペティション国際審査委員

©2012 TIFF

 
エマニエーレ・クリアレーゼさん: 私にとっても初めての来日、初めての東京国際映画祭ですが、ローマで見ていた小津監督や黒澤監督の作品の舞台である日本にやっと来ることができ感激しています。このような素晴らしい審査員のみなさま、特にロジャーと映画を審査することを大変光栄に思っています。今のところほとんどの点で合意しているので、大ゲンカが起こるのはこれからでしょうね。私にとって学ぶことが多い素晴らしい経験になると確信しています。
コンペティション国際審査委員

©2012 TIFF

 
部谷京子さん: 製作者・作られた作品に真摯に向き合おうと思い、昨日今日と過ごしております。いろいろな考え方があり表現方法がそれぞれなのだなと毎作品ごとに発見があり、今回の映画祭のテーマ「映画の力」を1本ごとに感じております。
コンペティション国際審査委員

©2012 TIFF

 
審査が始まる前にみなさまの中で何か取り決めはあったのでしょうか?
 
ロジャー・コーマンさん: 審査をする前に決めたのはただひとつ、作品のクオリティのみを審査対象にしようということでした。政治的な背景、どこの国の作品かということは一切考慮せず、内容のみを見るということです。
 
審査員のみなさまにとって良い映画とはなんですか?
 
エマニエーレ・クリアレーゼさん: 優れた映画の基準は数多くあるので難しい質問ですが、心の琴線にふれるかどうかだと思います。観客として作品にひきこまれること、登場人物への共感などといった感情に訴えかける要素だと思います。さらに、私自身は映画製作者ですので技術的な要素にも注目します。
 
ロジャー・コーマンさんに質問ですが、日本映画に対する印象をお聞かせください。
 
ロジャー・コーマンさん: 多くの尊敬する日本の映画監督がいますが、まずは黒澤明監督です。私は光栄にもアカデミー賞の外国映画部門で受賞をした黒澤監督の『デルス・ウーザラ』を米国で配給いたしました。また小津さんも類まれなる監督だと思います。小津監督は西洋人にとってそれまで見たことがない映画手法を紹介した方でした。あとは市川昆監督。市川昆監督がある映画祭でグランプリをとった時に私は2位の賞でした。日本には素晴らしい映画作りの歴史があると思います。
 
映画祭の効用とはどんなものだと思いますか。
 
滝田洋二郎さん: 映画監督としてデビューする以上は、やはり作品的にも興業的にも誰かに認められたいという気持ちはあります。映画祭というのは日本人だけではなく、いろいろな目を持った方、つまり異質の他者との交流があり、その中でどのようにして日本だけではなく世界の中で自分自身を発見できるのかという、作り手としての醍醐味があります。
 
ロジャー・コーマンさん: 1990年代にロシアを映画撮影のために訪ねた時期がちょうどソビエト連邦が崩壊した時でした。ロシアの配給会社の社長にその原因を尋ねたところ、さまざまな政治的・経済的な原因が挙がりましたが、ひとつの理由としてソ連の人々が西洋の映画やテレビに映る別世界の生活を見て、現在の政局ではそのような生活を送ることはできないということに気付いたのだというのです。映画・映像の力のすごさを感じた話として印象的でした。
 
エマニエーレ・クリアレーゼさん: 国際的な映画祭は世界中の映画監督を対等の立場に置くという意味で非常に大切だと思います。映画祭の期間中においてはいずれかの映画が優遇されるということがありません。有名なスターが出演している大作もあれば、低予算で製作されている作品もあり、すべての映画に均等に上映の機会が与えられ平等で民主的なのです。また滝田さんのおっしゃるとおり、映画監督にとって外国の人々、外国文化に触れる機会があることはいち人間としてまた芸術家としての成長にとって大切なことです。カンヌやヴェニスなどの国際映画祭がなければ今の私はないかもしれません。映画監督にとって自分そして自分の作品のプロモーションの場でもありますし、異なる意見を聞く大切な場でもあるのです。
 
部谷京子さん: 自分の作品のことを国際的な舞台で語れるようになりたいと今、強く思っております。これも映画祭のパワーですね。
 
リュック・ローグさん: インディペンデント映画にとっては国際映画祭は非常に重要な存在です。世界中の人々に自分の作品を見てもらう機会であり、観客にとっては素晴らしい作品に出会う場でもあり、優れた作品が発見されるきっかけの場でもあります。インディペンデント映画にとって、映画祭の役割は以前にも増して重要なものとなっています。
 
最後に、東京国際映画祭への期待は?と聞かれたエマニエーレ・クリアレーゼさんが「私は何事においても期待や予想はしないようにしています。好奇心は旺盛ですが人生で何が起こってもサプライズであり、サプライズを楽しみにしています。ということでサプライズを期待しているといえばいいでしょうか?」と答えると、リュック・ローグさんが「映画を見る際に、新しい文化や新しい世界を知りたいという好奇心は大切ですよね。」と加えた。
コンペティション国際審査委員

©2012 TIFF
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