10/22(月)WORLD CINEMA『木曜から日曜』の上映後、ドミンガ・ソトマイヨール(監督/脚本)、ベンヤミン・ドメネク(プロデューサー)が登壇、Q&Aが行われました。
司会:皆さんからのご質問を受ける前に、私から一つお聞きしたいのですが、監督にとって初めての長編ということですが、短編を作っていたときと比べて、撮影隊の人数など、かなり大規模になったということでしょうか?
ドミンガ・ソトマイヨール監督:今回は30人くらいの撮影隊のメンバーでした。私は大学時代に短編をいくつか作っていました。長編は初めてになります。
司会:ベンヤミンさんにお伺いしたいのですが、映画の舞台自体はチリでお撮りになったと伺いましたが、ずっと旅をしていく映画の中で、いちばん大変だったことは何ですか?
ベンヤミン・ドメネク(プロデューサー):私にとっては、非常に楽しく、また多くの経験ができました。いつも私の住んでいる国とは違う国で撮影できたということ、そしてたくさんのメンバーで、チームの人数が多かったということが、違うと言えば違います。
司会:ありがとうございました。それでは皆様からのご質問をお受けしたいと思います。
Q:歌がすごくよかったし、テーマとすごく合っていました。主題歌はオリジナルでしょうか?
監督:スペイン人の作曲家が作った歌です。エマニュエルというメキシコの歌手が歌って、非常に有名になりました。それが元々の歌で、それに弦を入れたりして、この映画に合う音楽にしました。この音楽の中には色々な要素が込められていて、全体の場面と一緒になって、一つの文化を示していけるということだったと思います。
Q:すごく素敵な作品で、世界感が楽しかったです。主役の少女がする表情が時々大人っぽくなったり、無邪気なときとあったのですが、どのような基準で子役を選んたのでしょうか?
監督:彼女は私の妹と一緒に遊んでいた子どもだったんです。実際にその辺で遊んでいる、普通の子どもというふうに考えました。だから色々見ているときに彼女自身が色んなことを自分の目で見ているなということを感じました。子どもっていうのと、大人のあいだのすべてのことですね、それを行ったり来たりする、そういう要素があるというのが非常に面白いと思います。子どもたちがだんだんに親のことを分かるようになっていくという過程ですね。
Q:あのあと一家はどうなってしまうのでしょうか? 後日談があれば教えてください。
監督:あの場所は、お父さんの関係の親族の土地なのですが、土地自体が誰のものであるかいうことにそんなに意味はなくて、それが一つの土地であって、砂漠の中の一つの場所であるということに意味があります。
作品では別にその先の話はしていないのですが、日曜日に旅が終わって、そのまま戻って、サンティアゴに着くということだと思います。それが最後の旅だという風に規定はしたくなかった。それがそうであるか、そうでないか。でもやっぱり日常性があるというところを描きたかったんです。
司会:我々が解釈する余白が多い映画だなと私も感じました。
Q:やんちゃな弟がカンフーか太極拳のような動きを何回かしていたのが気になったのですが、あのアクションは監督が指示したものなのか、子役が勝手にやったのでしょうか?
監督:キャスティングのときに、彼がカンフーの動作をやったのが非常に面白かったので、そのまま使いました。脚本を作り変える最後のときにカンフーの場面を書き加えたのです。そういう意味では結果的にうまくいったと思います。
プロデューサー:子どもというのは、いつも何かをして遊んでいる、そういうところがありますよね。そんな要素があの場面にはあります。
監督:映画には入れませんでしたが、カンフーをやり続けるという素晴らしい場面もあったんです。カンフーをやって車に体当たりするという場面がありますが、そんなシーンにも車に一つの意味を持たせていると思います。
Q:主役の女の子のことですが、旅行がどういう意味を持っていたのかわかって演じていたのでしょうか、またどのような演技指導をしたのでしょうか。
監督:彼女自身がその中に溶け込んでいって、時間の経過を経て人物がそれらしくなっていきました。彼女自身が両親との関係が徐々にわかってきたということです。彼女自身、演技は初めてのことでした。脚本には書き込んであるなかで、それぞれに応じて演じてくれたということです。
Q:ずっとルシアの視点で描かれていくのが独特で、感情がどんどん重なっていくことがすごくよかったです。今回のこの作品ではどうしてこの題材、物語を選ばれたのか教えてください。監督の個人的な経験なのか、あるいは誰かの体験なのかそれとも全くのファンタジーなのか。その辺りをお聞かせください。
監督:非常に個人的なことから始まりました。小さい時のわたしと従妹が車の上に乗っている写真を見つけました。その写真を見た時からその写真と同じような道を辿って、子どもが屋根に乗ってすごく楽しみ、問題を抱えた両親が車内にいるということをイメージしたわけです。そのようにして段々にフィクションにしたわけですけれども、自分の自伝的なことがあるとすれば、屋根に乗っかって非常に自由な感じで旅をしたということとか、車内にいる時は非常に閉じ込められた感じがした。というような自分の原点が出ているかと思います。
Q:素晴らしい映画でした。チリでは車内に4日間の旅行とか普通にあることなのでしょうか。
監督:チリでは例えば、金曜が祝日だった場合に木曜の夜から出発して4日間ということはよくあります。チリというのは非常に細長い国です。北に行くか南に行くかしかなく、終わりがない。とにかく長く旅をして戻ってくる。北から南、南から北への旅はチリ独特のものだと思います。
Q:お二人は、どのようなきっかけで一緒に仕事をすることになったのでしょうか。
プロデューサー:4年前に知り合いました。彼女の企画したものが非常に興味深かったので、それでずっと一緒にやるようになりました。
監督:知り合って、共同作業するようになったということです。
司会:最後に一言ずつお願いします。
監督:日本にも初めて来ることができて非常に喜んでいます。チリというのは日本の真裏に位置しています。ちょうど12時間の時差があるようなところです。私たちにとって、日本、そして東京で初めての上映です。素晴らしい映画祭で上映できることをとても誇りに思います。
プロデューサー:今日は劇場に来ていただきありがとうございました。