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2012.10.31
[イベントレポート]
「まずはこの作品を多くの人に見せたいという思いが1番です」―10/22(月)日本映画・ある視点『少女と夏の終わり』:Q&A

10/22(月)日本映画・ある視点部門『少女と夏の終わり』の上映後、石山友美監督(監督/脚本/編集)、菅原瑞貴さん(女優)、上村 愛さん(女優)が登壇し、Q&Aが行われました。
少女と夏の終わり

©2012 TIFF

 
今日はありがとうございます。では、まず監督から皆様に一言お願いいたします。
 
石山友美監督(以下、監督):今日は観てくださって本当にありがとうございます。私も一緒に会場で観ていました。これまで何度も観てきた映画ですけれども、画質がよかったこと以上に、皆さんと一緒に観ることができて嬉しかったです。
 
菅原瑞貴さん(以下、菅原さん):ありがとうございました。初主演で映画に出させていただいて、実際に完成した映画を観て、スタッフや共演者の方々、地元の人々にすごく助けられていているなと思いました。これは私が19歳の時に撮った作品で、私は今年20歳になりました。これからも役の瑞樹と一緒に成長していきたいなと思っています。

©2012 TIFF

 
上村 愛さん(以下、上村さん):薫役をやらせていただきました上村愛です。本日はご来場ありがとうございます。全然お客さんが入っていないんじゃないかなという不安があったので、すごく嬉しいです。現実じゃないような感じです。ありがとうございます。

©2012 TIFF

 
石山監督は長編第1作という事ですが、どうしてこのテーマで撮ろうと思われたのですか?
 
監督:もともと群像劇がすごく好きで、登場人物をいっぱい出して、わけがよくわからないけれど、その中で人が動いているという映画を作ろうと思っていました。そして、なにか軸になるストーリーがほしいなと思った時に、瑞樹と薫っていう役が出来上がってきたのです。この2人の少女のひと夏の成長を描く話にしようと。その女の子たちが、彼女たちを気にかけない大人たちに囲まれているところを描きたいと思っていたら、こういう映画になりました。
 

菅原さんと上村さんは、役が決まった時はどのようなお気持ちでしたか?
 
菅原さん:「あっ、同じ名前だ!」って最初に思いました(笑)。自分より年下で違う経験をしてきている人物なので、自分が演じられるかなと不安でもありました。でも、監督が「そのままでいいよ」と言って下さったので、そのまま演じました。
 
上村さん:私は、スナックにいたママ役の原さんの紹介で、この作品に出演することになりました。原さんとはしばらくお会いしてなかったので、薫役に対してというよりも「原さん元気かな?」というのが最初の印象ですね。

 

出演者の皆さんはあまりなじみのない俳優さんが多く、なかにはプロの役者ではなさそうな方も混じっているように思えました。そういう方たちもいい味を出していると思いました。どういう経緯でキャスティングしたのか、聞かせてください
 
監督:この作品の出演者は9割くらい素人の方です。シニアの劇団に見に行ったり、知り合いのつてをたどったりして探しました。それでも出演者が足りなくなったので、映画のスタッフは私を含め全員出ています。
 
監督はどこに出ていたのですか?
 
監督:私は選挙事務所でタバコを吸っていました(笑)。ほんとにいろんなバックグランドの方がいらっしゃって。プロとして映画に何本も出ていらっしゃる方が一握りで、あとは普段ほとんど映画を観ない方、演技経験もゼロで、俳優活動も全くしていない方でした。ですから、大事なシーンには必ずプロの方をいれて引っ張ってもらうという工夫を配役時にしました。
 
ロケ地はどこですか?
 
監督:あれは、全部東京都です。檜原村とか、あきる野市の山梨に近い山のところです。もともと低予算の映画だったので、地方に行ってロケをという事はできなくて。じわじわと自分の行動範囲内から探していきました。

©2012 TIFF

 
では、お2人に役作りをどんなふうにしたのか聞いてみましょうか。演技をしていて難しかったことはありますか?
 
菅原さん:身体の成長の問題は経験した者にしか分からないと思うので、「そのまま」と言われましたけど、自分の過去をほじくり返して考えながら演じました。
 
上村さん:瑞貴ちゃんと最初に会った時に、「この子と仲良くできるのかなあ」って思ってしまった時があって。でも、途中からすごく瑞貴ちゃんのことを好きになれてからは、大丈夫になりました。

 
冒頭で2人がいきなりキスをするシーンがありますが、仲良くなってからでないとあのようなシーンは撮れないと思うので、撮影秘話があるようでしたら教えてください。あれは初めから脚本にあったのですか?
 
監督:はい、キャスティングをする前からありました。やはり撮影順番は後の方にして、2人になるべく仲良くなってもらってからということは考えていました。当初のスケジュール通りではなく、2人が仲良くなっていた頃で、それが功を奏しました。2人ともとても肝が据わっている女優さんで、私がやってと言ったら、私もびっくりするぐらいパンとやってくれました。
 
脚本も監督が担当されていますが、撮影の段階でセリフを変えたり、予定していた編集を2人の演技を見て変えたりすることはありましたか?
 
監督:そうですね。かなり編集で変えました。シナリオの段階では作品のイメージを自分自身もあまりよくわかっていなかったと思いますし、編集しながらさらにイメージに近づけていくという感じで順番を変えました。撮影中活躍していたエキストラの方をまた撮りたいと思って、呼び出して新たにシーンを作ったりもしました。シナリオの段階で見えていなかったことが、編集の段階で見えてきたこともありました。
 

女優のおふたりは、今回作品を見るのは2回目ということですが、完成した作品を見ていかがでしたか?
 
菅原さん:撮影中は、あちこちから色々なカットを撮って、それらがどのように映ってつながり、どういう物語になるのだろうかと、わくわくしながら撮影しました。このように皆さんにお見せできるのだろうかと不安だったのですが、撮影自体はすごく楽しかったので、これはあの時のシーンだとドキドキしながら見ていました。

上村さん:水の音や森の緑の感じが良かったです。空気感が大切な映画だと思いました。
 

素人の出演者が多いということですが、プロの方とのギャップがなく見られました。監督さんはかなり演技指導なさったのですか?
 
監督:演技指導という言葉はぴんとこないのですが、人それぞれいろんな考えを持って現場に来るので、ひとりひとりと話をするように努力しました。私の感覚ではエキストラというよりも立派な出演者という思いがあるので、なるべくそれぞれの人を見て、どういうところを映したら面白いかなと現場で考えるようにしました。

 
最後になりますが、今後の抱負をお聞かせください。
 
監督:つい先月これが完成したばかりで、まずはこの作品を多くの人に見せたいという思いが1番です。配給も何も決まっていないのですが、自分の力で劇場を探すなど、この作品をもう少し大きく成長させていけたらと思っています。
 
菅原さん:今日来られなかった方にもこの作品を見てほしいなと思っていますし、この作品と共に、瑞樹と共に、女優として成長していけたらと思います。
 
上原さん:宣伝出来る場があるなら、どこまでもいきます(笑)。映画がとても好きなので、また皆さんにお会いできるように頑張ります。
 
少女と夏の終わり

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