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2012.10.30
[イベントレポート]
10/28(日) アジアの風-ディスカバー亜州電影~伝説のホラー&ファンタ王国カンボジア『天女伝説プー・チュク・ソー』

10/28(日)アジアの風-ディスカバー亜州電影~伝説のホラー&ファンタ王国カンボジア『天女伝説プー・チュク・ソー』のティ・リム・クゥン監督とコーディネーター ティ・チャニ・キムさん(監督の娘)が登壇、Q&Aが行われました。
天女伝説プー・チュク・ソー

©2012 TIFF

 

ポル・ポト時代の受難の中、監督が自ら保存・保管をして今日まで残っていた2本の作品を映画祭にお持ちいただきました。

監督は現在カナダに住んでおりますが、今回日本に駆けつけてくださいまして、このQ&Aができる運びとなりました。

 

司会者:まずは一言ずつお願いします。
 

ティ・リム・クゥン監督:今日はわたしの作品を観に来てくださりありがとうございます。またこの映画祭に呼んでいただき非常に感謝しております。特に石坂さんが私に会いにきてくださって、作品を選んでくださったことに感謝しております。この名誉なことは私だけのことではなくて、カンボジア人全体の名誉だと思っています。これから皆さんの質問にお答えしていくのですがその前に先日亡くなりましたシアヌーク元国王に対する哀悼の意を表したいと思います。私が映画を作った、60年代から70年代はシアヌーク元国王が国を指導していた時期でありました。元国王は、とても映画を愛しておりまして、映画を作るものを励まし、国民がその映画を愛することになるよう尽力してくださった方でした。今日の名誉な喜びをこの映画の中に出てきて、もう亡くなっている俳優・女優達と分かち合いたいと思います。この映画祭に関わってくださった皆さんが、私が参加しやすいように取り計らってくださいました。本当に感謝しております。
 
ティ・チャニ・キムさん:皆さま本当に今日はありがとうございます。私たちにとって夢が叶った日です。父はこういった映画を保存・保管しており、今まで多くの人に観ていただく機会はありませんでした。今日はこんなに盛り上げていただいたこと、興味や関心を持ってくださることを嬉しく思います。それは父が申しましたとおり、故シアヌーク国王は国の人の平和を信じております。全ての国の人々も映画を観ると同じように反応されるんですね。映画は、平和な時、戦争の時を問わず、楽しめるものだと私は思います。
天女伝説プー・チュク・ソー

©2012 TIFF

 

Q:今日は、ストーリー展開の面白い作品、しかも作品の状態がとても良かったです。ずっと保存されていたこと、今日お持ちいただいたことに感謝しております。この二本『天女伝説プー・チュク・ソー』と『怪奇ヘビ男』を保存されていたエピソード、そしてなぜ今回この二本を上映するに至ったのかお聞かせください。

 

監督:カンボジアで戦争が起こったことは非常に残念なことです。戦争によって国の状況が悪化するのをみて、最初に6本の作品をカナダに持ち出しました。最後に取りに戻った作品が『天女伝説プー・チュク・ソー』だったんです。それがその空港から出た最後の飛行機で、その後飛行場が閉鎖されました。カナダに持ち出した後、30年以上もの間上映することはありませんでした。本当に重要な機会がある時まで出したいとは思っていませんでした。今年が初めて私の作品を(カナダへ)持ち出した後に、上映する機会が訪れたことになります。2月にドイツのベルリンで上映し、今回に至ります。今回作品を日本に持ってこられたということは非常に幸運なことでした。

 

司会者:ひとつ情報を付け加えますと、2月にベルリンではフィルムで上映しました。しかしフィルムが破損するのが恐ろしいのでフィルム上映はストップがかかりました。その後デジタル化をして今日2本持ってくる運びになりました。

 

監督:みなさんご存じかと思いますが、フィルムというのは上映すると痛むものです。そして今回はDVDにしました。ご覧いただいたように、映像も音声も良かったとは思いますが、私はこれではまだ満足していませんので、さらに品質のいい映像と音声のものを作りたいと思っています。

 

Q:カンボジア映画を観たことが初めてでした。起承転結がはっきりしていて面白かったです。1967年というとまだCGは発達していない時代だと思いますが、どのように撮影したのでしょうか。

 

監督:1967年にはパソコンはまだありませんでしたので、カメラ一台で、ゴミを捨てるシーンでゴミが勝手に動いていくとか、人が消えたりなど全てを撮りました。一生懸命やりましたけどもし、よくできてないなぁと思える所があれば、どうもすみません。

 

Q:エンドロールで『おわり』とテロップが出て作品が終わっていました。その後、役者さんの名前などがなかったんですが、オープニングに流れていたのでしょうか。

 

監督:最近の映画は終わりに出しますが、昔は初めに役者さんの名前を出していました。

 

司会:日本映画も昔はそうでしたね。

 
Q:この映画の物語は元になった有名な伝説などがあるのでしょうか。

 

監督:今日見ていただいたお話は、民話などもとになったお話はありません。すべて自分で考えて作りました。今日見ていただいた話しの中で、一番はっきりお見せしたかったのが愛情です。愛情というものをはっきり表現したかった。

ご覧になってわかっていただいたと思いますがプー・チュク・ソーは天界を捨ててまで貧しい青年と一緒になって愛情を守って死ぬ、二人とも死んでしまうという表現をしています。愛情の強さをわかっていただけたかと思います。

プー・チュク・ソーの父親には、愛情を理解するという力が欠けていて、夫婦が愛し合っているということが理解できなかったわけです。

その愛情というのは人々が暮らす中で慈悲とか思いやりとかそういう優しい気持ちを持つ基となると思います。この物語を見て、皆さん家に帰ってそれぞれ自分の家庭の愛情というのを確認していただけたらと思います。

 

Q:オリジナルで民話風の映画を作ろうと思った動機も教えてもらえれればと思います。

 

監督:天女が出てきたりというような民話を人々が好きだったということがあります。そのために民話的に書いたということはあります。内容は民話があったらその通り作るということは好きではなく自分で考えて自分の頭で一つずつ考えて作るということが好きでした。もし民話を使う場合でも、民話の通りに映画を作るということはしておりません。

 

司会:ありがとうございました。ここで時間になってしまいました。それでじつは昨日10月27日というのが、監督と奥様の結婚記念日だそうで、(会場から大きな拍手)結婚何周年目でしょうか。

 

監督:58年目です。

 

司会者:奥様、どうぞ前に出てきていただいて、映画祭からの花束を贈呈させていただきます。
ありがとうございました。

天女伝説プー・チュク・ソー

©2012 TIFF

 

 

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