第25回東京国際映画祭クロージングセレモニー終了後、受賞者による記者会見が行なわれました。受賞者の喜びの声をどうぞ!
日時・場所
10/28(日) 16:30~
@六本木ヒルズ森タワー、アカデミーヒルズ49、スカイスタジオ
受賞作品・受賞
◆コンペティション
東京 サクラ グランプリ:
『もうひとりの息子』ロレーヌ・レヴィ監督
審査員特別賞:
『未熟な犯罪者』カン・イグァン監督
最優秀監督賞:
ロレーヌ・レヴィ監督(『もうひとりの息子』)
最優秀女優賞:
ネスリハン・アタギュル(『天と地の間のどこか』)
最優秀男優賞:
ソ・ヨンジュ(『未熟な犯罪者』)
最優秀芸術貢献賞:
『テセウスの船』パンカジ・クマール撮影監督
観客賞:
『フラッシュバックメモリーズ 3D』松江哲明監督
◆TOYOTA Earth Grand Prix
TOYOTA Earth Grand Prix:
『聖者からの食事』ヴァレリー・ベルトー、フィリップ・ウィチュス監督
TOYOTA Earth Grand Prix 特別審査員特別賞:
『ゴミ地球の代償』キャンディダ・ブラディ監督
◆アジアの風
最優秀アジア映画賞:
『沈黙の夜』レイス・チェリッキ監督
◆日本映画・ある視点
作品賞:
『GFP BUNNY─タリウム少女のプログラム─』土屋豊監督
◆コンペティション
■東京 サクラ グランプリ:『もうひとりの息子』
ロレーヌ・レヴィ監督:
「まずはみなさまに心よりお礼を申し上げます。Thank you Tokyo, thank you Japon. とても感謝しています、このことは一生忘れません。この賞が素晴らしいのは、自分が描きたかった感情をわかちあうことができたのだという確信を与えられたからです。この作品が選ばれたということは、審査委員と私とがわかちあうことができたのだと考えています。日本のみなさまともその感情を共有できていれば嬉しいです。昨年の東京 サクラ グランプリの『最強のふたり』が、世界的な大成功をおさめたことは同じフランス人として大変嬉しく思っています。私の映画があれほど成功するとは考えていませんが、それぞれの作品にはそれぞれの道があり、その道はどれもが美しいと思っています。この映画の道は、この映画が描いた問題についての新たな扉へと通じています。自分がユダヤ系であるということで作品に感情的そして芸術的に入り込むことができましたが、同時に失敗しないようにつくらねばという恐怖感もありました。次回作については今回のプロデューサーのヴィルジニーと再度、仕事をしようと思っています。脚本も書き、俳優も決まっていて、あとは資金面さえクリアになれば来春にでも撮影る予定です。アイデンティティの探求の物語で、子供を捨てて25年後に戻ってきた女性の話です。母性を拒否しどう生きてきたのか?なぜ戻ってきたのか?というストーリーです。映画監督になる前は考えたこともありませんでしたが、この業界に男女差があることは事実です。ですが女性が勇気をもち、自分を信じれば、必ず道は開けると思います。」
ヴィルジニー・ラコンブさん:
「私自身、本当に好きな作品です。監督といっしょに仕事することも愛しています。次回作もふたりで作ることにしています。この賞をいただくことを名誉に思い、誇りに感じます。この映画には4年半の月日を費やしました。それだけに喜びもひとしおです。」
ジュール・シトリュクさん:
「とても感動しています。脚本を読んだ時から素晴らしい作品だとは思っていましたが、グランプリを受賞するなんてまだ信じられません。ロレーヌは監督賞もとりましたが、彼女はとても賢く、繊細で、カメラワークも優れた素晴らしい監督なので、彼女に見合った受賞だと思います。私が日本の映画祭に2回参加して、出演作品が2回ともグランプリを受賞しました。私が出演する映画を日本のみなさまが愛して下さるということで、フランスでは2度あることは3度あると言うので、3度目があるといいなと思っています!
■最優秀監督賞:ロレーヌ・レヴィ(『もうひとりの息子』)
ロレーヌ・レヴィ監督:上記コメントをご参照ください。
■審査員特別賞:『未熟な犯罪者』
カン・イグァン監督:
「この映画をつくるのは簡単なことではなく、ここまで来たのを奇跡とさえ思います。映画を作るということは同じ考えの友に巡り合うことです。この作品を観客や審査員のみなさんが見て好きになって下さった、つまりたくさんの友達に出会えたことになります。多くの友達と出会うきっかけを下さった東京国際映画祭に感謝を申し上げたい、そして何もよりも大きな力になってくれた主演のイ・ジョンヒョン、そしてソ・ヨンジュンに心からの感謝を伝えたいと思います。本当にありがとうございました。」
イ・ジョンヒョンさん:
「息子に10数年ぶりに初めて会うというシーンでは、はじめは強くむせび泣く演技を行いましたが、わざとらしいのではないか、実際にそのようなことが起きたら最初はどうしていいのかわからないのではないかと考え、監督と話し合い、普段の彼女らしい演技で撮りなおし、結果的に良いシーンになりました。」
■最優秀女優賞:ネスリハン・アタギュル(『天と地の間のどこか』)
ネスリハン・アタギュルさん:
「とても興奮しています!母は私のことをとても誇りに思うと思います。この映画でいちばん難しかったシーンは、流産した後に、判断能力があるのかそれともショック状態になってしまったのか、私の心理状態を精神科医が鑑定するシーンでした。精神科医役を演じたのは俳優ではなく本物の精神科医です。短いシーンに見えますが撮影は即興で、20分間カメラをまわしっぱなしで撮影しており、演じるのがとても難しかったのです。でもそうした難しいチャレンジからは必ず何か学ぶことがあり、私を大きく成長させてくれました。」
■最優秀男優賞:ソ・ヨンジュ(『未熟な犯罪者』)
ソ・ヨンジュさん:
「感謝の言葉しか思い浮かびません。この映画祭に参加すること自体が僕にとって大きな経験であり、プレッシャーにもなっています。そんな場でこのような素晴らしい賞をいただき本当に嬉しく思っています。僕自身は平凡な少年なのでジグ役になりきるのに苦労しましたが、この映画に出演して犯罪を犯した少年たちへの見方が変わりました。彼らもちゃんと導いてあげれば普通の子たちと変わらないんだ、まずは自分から手を差し伸べようと考えるようになりました。」
■最優秀芸術貢献賞:パンカジ・クマール(『テセウスの船』撮影監督)
アイーダ・エル・カーシフさん(主演女優):
「この作品を東京で上映することができたのは素晴らしい経験でした。パンカジは大変才能にあふれた撮影監督です。残念ながらまだ本人にこの素晴らしいニュースを知らせることができていませんが、本当に喜ぶと思いますし、この賞を受賞するのに彼ほど相応しい人はいないと思います。」
■観客賞:『フラッシュバックメモリーズ 3D』
松江哲明監督:
「上映時の観客席の空間そのものが、僕らスタッフが想像しないような特別の場になったので、観客賞という言葉を聞くたびにあの上映のことを思い出すと思います。作品を3Dにした理由はひとことで言うとGOMAさんと出会ったからですが、以前からドキュメンタリーと3Dは相性が良いと思っていました。3Dはスケール感や派手な効果を見せる映画が多いですが、ドキュメンタリーは対象個人と向き合い記録する手法なので、3Dを使って対象に近づくことによって情報としての説明を排し、描写だけで映画が作れるのではと3Dで撮りました。また現在と過去の演奏するGOMAさんを同時に見せることができるのは3Dならではと思います。東京国際映画祭に対しては今後もインディペンデント映画を応援する場であること、そして製作者としては監督以外の映画スタッフとも交流できる場になってほしいという期待を持っています。」
◆TOYOTA Earth Grand Prix
■TOYOTA Earth Grand Prix:『聖者からの食事』
フィリップ・ウィチュス監督:
「来日できなかったヴァレリー・ベルトーと一緒に作った作品で、彼女も受賞を大変喜ぶと思います。この映画が食について考えるきっかけとなれば嬉しいです。私が描きたかったのは、インドのコミュニティで人々が助け合っている姿です。何かを生産するという場において、参加する者がそれぞれストレスを感じることなく自分のペースで働いたとしても良い結果は出せるし完成するものに変わりはない、つまり生産性は変わらないのです。このあり方からは学ぶべきものがあると思っています。」
■TOYOTA Earth Grand Prix 審査員特別賞:『ゴミ地球の代償』
タビサ・トラウトンさん(アソシエイト・プロデューサー):
「アリガトウ!キャンディダ・ブラディ監督と撮影スタッフを代表してお礼を申し上げます。このような賞の受賞は私たちにとってこの上なく重要なことです。この映画はジェレミー・アイアンズが世界を精力的にまわり、彼が目の当たりにしたことを伝えるという作品になっています。映画を製作したことでこの問題が解決するわけではないですが、問題提起をし、ゴミ問題について再認識していただけるのではないかと思っています。」
◆アジアの風
■最優秀アジア映画賞:『沈黙の夜』
レイス・チェリッキ監督:
「世界中の声を語り、世界中の色彩、世界中の悲しみや物語を語ることができるのが芸術の力です。少女と老人の結婚というのは世界中で起きていることですが、我々は残念ながら見て見ないふりをしているのです。トルコ、イラン、アフガニスタンの国々の少女花嫁、またタイでドイツ人などが少女を買春対象としていることも、本質的な問題は同じです。皮肉なことに世界のどこで本作を上映しても必ず、いまだにそんなことが行われる地域があるなんて!と言われます。つまり人はこうした話を常によその地域の問題だと考えているのです。世界中にはさまざまな過ち、悲しみ、辛い現実が存在します。世界中の人たちがそれらを自分の問題として捉えることが大切なのです。」
◆日本映画・ある視点
■作品賞:『GFP BUNNY─タリウム少女のプログラム─』
土屋豊監督:
「本作はタイトルが正式に『タリウム少女の毒殺日記』に変わりました。インディペンデント映画をとりまく状況を改善しようと設立された独立映画鍋で「新しい配給宣伝の方法を考える公開作戦会議」という勉強会が先日開催されたのですが、その時に『GFP BUNNY』は覚えづらいと言う意見が出ました。それでタイトル変更が決まったのですが、東京国際映画祭での上映時に観客に決めてもらうのがよいということになり、2回目の上映の時に2択で選んでもらいました。配給や宣伝の情報を共有し観客に参加してもらう、という実験的な方法です。この映画には賛否両論ありますが、ご感想を双方からいただけたことを嬉しく思っています。審査委員の方がインディペンデントはメジャーではできない挑戦的なことをやってほしい、驚かせてほしいとおっしゃっていましたが、逆にメジャーはなぜ挑戦的なことができないのだろうと思います。製作費の600万円がポンポン出せれば映画を作れますが、お金がなくこの作品を作るのに7年かかりました。非常に厳しい状況です。現在MotionGalleryとクラウドファンディングのサイト(※)を共同運営しており本作の配給宣伝費200万円のファンディングを呼びかけていますが、残り20日間しかない現在、30万円しか集まっていません。どうぞご協力よろしくお願いいたします。30万円を寄付していただけた場合、基本的に僕がなんでもやるというチケットもついています。」
(※:詳しくはコチラのニュースにて)